高圧ガス基礎情報

高圧ガス保安法の目的
各種定義
高圧ガスの物性
高圧ガス処理能力・貯蔵能力の計算
CE（加圧蒸発器付き）の気化器能力とその処理量
液化ガス製造設備おける申請区分

高圧ガス保安法の目的

高圧ガスによる災害を防止するため、高圧ガスの製造、貯蔵、販売、移動その他の取扱及び消費並びに容器の製造及び取扱を規制するとともに、民間事業者及び高圧ガス保安協会による高圧ガスの保安に関する自主的な活動を促進し、もって公共の安全を確保することを目的とする。

各種定義

高圧ガスの定義

圧縮ガス

常用の温度において圧力が1MPa以上となる圧縮ガスであって現にその圧力が1MPa以上であるもの。
温度35℃において圧力が1MPa以上となる圧縮ガス。

アセチレン

常用の温度において圧力が0.2MPa以上となる圧縮アセチレンガスであって現にその圧力が0.2MPa以上であるもの。
温度15℃において圧力が0.2MPa以上となる圧縮アセチレンガス。

液化ガス

常用の温度において圧力が0.2MPa以上となる液化ガスであって現にその圧力が0.2MPa以上であるもの。圧力が0.2MPaとなる場合の温度が35℃以下である液化ガス。

コールド・エバポレータ（CE）の定義

CEは液化酸素、液化窒素、液化アルゴン、液化炭酸ガスの加圧蒸発器付低温貯槽（二重殻真空断熱式構造のものに限る）を有する定置式製造設備。

高圧ガス製造の定義

圧力変化

高圧ガスでないガスを高圧ガスにする。
高圧ガスをさらに昇圧させる。
高圧ガスを圧力の低い高圧ガスにする。

状態変化

気体を高圧ガスである液化ガスにする。
液化ガスを気化させて高圧ガスにする。

その他

容器への充填行為
液面加圧行為

高圧ガスの物性

主なガスの重量と体積の換算

	重量［kg］	液体［ℓ］沸点、0.1MPa	気体［m3］ 0℃、0.1MPa	気体［m3］取引上の換算値35℃、0.1MPa
酸素	1	0.877	0.700	0.790
	1.140	1	0.798	0.900
	1.429	1.253	1	1.128
	1.267	1.111	0.886	1
窒素	1	1.238	0.800	0.900
	0.808	1	0.646	0.729
	1.251	1.548	1	1.128
	1.109	1.372	0.886	1
アルゴン	1	0.713	0.561	0.632
	1.402	1	0.786	0.887
	1.783	1.272	1	1.128
	1.580	1.127	0.886	1
炭酸ガス	1	0.971	0.506	0.534
	1.030	1	0.521	0.550
	1.977	1.919	1	1.055
	1.874	1.818 ※炭酸ガスは括弧内の状態において（-20℃,飽和蒸気圧 1.873MPaG）	0.948	1
水素	1	14.10	11.136	12.561
	0.0709	1	1.267	1.429
	0.0898	1.267	1	1.128
	0.0796	1.128	0.886	1
ヘリウム	1	8.000	5.602	6.320
	0.125	1	0.700	0.790
	0.179	1.428	1	1.128
	0.158	1.266	0.886	1

高圧ガス処理能力・貯蔵能力の計算

処理能力の計算

1．加圧蒸発器付低温貯槽（気化ガスを取り出す場合）

【一般則第2条第1項第18号ト(ホ)①：常用圧力1MPa未満の加圧蒸発器付きCE（ガス取り）】
Q＝W／（22.4／M×ρ×1000）×（10P＋１）×24　［m3/日］

2．加圧蒸発器付低温貯槽（液化ガスを取り出す場合）

【一般則第2条第1項第18号ト(ホ)②：常用圧力1MPa未満の加圧蒸発器付きCE（液取り）】
Q＝（10P＋１）×0.9V　［m3/日］

3．蒸発器

【一般則第2条第1項第18号ハ：常用圧力が1MPa以上となる場合の送ガス蒸発器】
Q＝W×24×22.4／M　［m3/日］

常用圧力1MPa未満においてガス取りと液取りの両方を行う場合、上記1．及び2．式の合算が処理能力となる。
常用圧力1MPa以上のCEの処理能力（ガス取りのみの場合）は、上記1．及び2．式の合算が処理能力となる。

記号	項目	単位
W	蒸発器の公称能力	m3/h
M	分子量	ー
ρ	液密度	kg/ℓ
P	常用圧力	MPa
V	加圧蒸発器付低温貯槽の内容積	m3

貯蔵能力の計算

1．圧縮ガスの貯蔵設備

【一般則第2条第1項第9号イ】
Q＝（10P＋1）V　［m3］

2．液化ガスの貯蔵設備

【一般則第2条第1項第9号ロ】
W＝0.9wV　［kg］

3．液化ガス容器の貯蔵設備

【一般則第2条第1項第9号ハ】
W＝V／C　［kg］

記号	項目	単位
P	常用圧力	MPa
V	加圧蒸発器付低温貯槽の内容積	m3
V	（容器の場合の単位）	ℓ
w	液化ガスの比重	kg/ℓ
C	充填定数	－

CE（加圧蒸発器付き）の気化器能力とその処理量

加圧蒸発器付きCE（ガス取り）の常用圧力と気化器公称能力による処理量（第二種製造者となる区分）

ガス種	N₂		Ar		O₂		CO₂
常用圧力［MPa］	気化器能力［Nm3/h］	処理量［Nm3/日］	気化器能力［Nm3/h］	処理量［Nm3/日］	気化器能力［Nm3/h］	処理量［Nm3/日］	気化器能力［kg/h］	処理量［Nm3/日］
0.50	1,300	289.3	1,600	294.3	500	90.2
0.60	1,100	285.6	1,300	279.0	400	84.2
0.70	1,000	296.7	1,200	294.3	400	96.2
0.75	900	283.7	1,100	286.7	320	81.8
0.80	800	267.0	1,000	276.0	320	86.6
0.85	800	281.9	1,000	291.3	320	91.4
0.90	800	296.7	900	276.0	320	96.2
0.93	700	267.4	900	284.2	320	99.1
0.99	700	283.0	800	267.4	300	98.3
2.10							20	254.7
2.20							20	255.2
2.50							20	256.6

※N2,Ar,O2は加圧蒸発器付低温貯槽の処理量（ガス取り）の計算による。（一般則第2条第18号ト（ホ）①）

液化ガス製造設備おける申請区分

CEや低温貯槽などの液化ガス製造設備における申請区分

ガスの区分		第一種ガス（LN2、LAr、LCO2など）			第二種ガス（LO2、LH2、LNGなど）			第一種ガス＋第二種ガス
処理量の区分		300Nm3/日未満		300Nm3/日以上	100Nm3/日未満		100Nm3/日以上	第一種＋第二種の合計処理量が
処理量の区分		300Nm3/日未満		300Nm3/日以上	100Nm3/日未満		100Nm3/日以上	「T」Nm3/日未満		「T」Nm3/日以上
貯蔵量の区分		300m3 (3t)以上	3,000m3 (30t)以上	-	300m3 (3t)以上	1,000m3 (10t)以上	-	第一種＋第二種の合計貯蔵量が		-
貯蔵量の区分		300m3 (3t)以上	3,000m3 (30t)以上	-	300m3 (3t)以上	1,000m3 (10t)以上	-	300m3(3t)以上「N」m3未満	「N」値以上	-
第一種製造者	許可	-	-	○	-	-	○	-	-	○
第二種製造者	届出	○	○	-	○	○	-	○	○	-
第一種貯蔵所	許可	-	○	-	-	○	-	-	○	-
第二種貯蔵所	届出	○	-	-	○	-	-	○	-	-
特定高圧ガス消費者	届出	-			○（液化酸素：3t以上の場合）			○（液化酸素：3t以上の場合）

【凡例】○：許可または届出が必要，△：貯蔵するガスや貯蔵量により届出が必要。

【記号T・Nの計算】
T=100+(2/3)×S［Nm3/日］…S：第一種ガスの処理能力［Nm3/日］
N=1000+(2/3)×M［Sm3］…M：第一種ガスの貯蔵能力［Sm3］

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